国際文学館館長 十 重 田 裕 一(文学学術院教授)10昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の影響が全世界に及んだ一年となりましたが、国際文学館(村上春樹ライブラリー)は、皆さまから温かいご支援、ご協力を賜り、2021年10月1日に開館することができました。来館者の皆様、館に関係する方々の健康と安全を最優先に考えて入場者数を制限して運営しましたが、好評を博し、開館から半年後の2022年3月31日までに、約13,000人の参観者をお迎えすることができました。あらためて関係の皆さまには深く感謝申し上げたいと存じます。以下では、開館前の2021年4~9月と開館後の2021年10月~2022年3月に分けて事業の年次報告をいたします。【2021年4~9月】2021年度に入って早々に、館内併設カフェの自主的運営をはじめとし、国際文学館での活動を行う学生を支援するべく、「村上春樹ライブラリー開館記念学生応援キャンペーン募金」をたちあげました。募金の実施は4月1日から6月30日まででしたが、最初期から多くの方々より温かいご支援をいただき、寄付額は14,795,909円になりました。開館前から、メニュー開発やスタッフのトレーニングなどカフェの準備が入念にでき、来館者の期待にこたえました。後述と重なりますが、音楽・文化企画の立案・ 実行もあり、学生たちにとっての重要な学びの場になってきています。ご支援くださいました皆さまには、この場をかりて、深く感謝申し上げます。開館前の9月までは、館内環境整備、資料データ遡及入力、開館準備(B1・1・2階、階段本棚、ギャラリーラウンジ、展示室、オーディオルーム、カフェ。ウェブサイト等)を継続的に実施いたしました。前年度に引き続き、村上春樹氏からの寄託・寄贈資料を継続的に受け入れ、整理作業を進めつつ、館蔵資料の公開利用について検討を重ね、文化推進部関係部署と図書館の協力を得て、I.B.Museum に収蔵資料データの蓄積を開始し、図書関連は「早稲田大学図書館システム WINE」にて、その他は「早稲田大学文化資源データベース」にて、利用者の皆様に提供することとなりました。ご挨拶9月中・下旬に予定していた寄付者・関係者内覧会は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中止となりましたが、同月16~17日にはメディア内覧会を実施しました。同月22日には、早稲田大学国際会議場・井深大記念ホールで開館記者会見を執り行いました。村上春樹氏、柳井正氏、隈研吾氏、田中愛治総長、十重田が登壇し、メディア関係者をはじめ、多くの方々が出席されました。新聞・テレビ等のメディアやネットで大きく報じられたので、ご記憶の方々も少なくないかと存じます。【2021年10月~2022年3月】10月1日には国際文学館(村上春樹ライブラリー)が開館、オープニングイベントを実施しながら、来館者をお迎えしました。開館日から2022年2月2日まで、企画展「建築のなかの文学、文学のなかの建築」を2階の展示室で開催いたしました。国際文学館顧問の橋本周司氏(早稲田大学名誉教授・早稲田大学前副総長)、ロバート キャンベル氏(東京大学名誉教授・国文学研究資料館名誉教授)を中心に、村上春樹氏のご提案を受けた朗読などのイベント「Authors Alive!~作家に会おう~」を10~12月に全6回実施いたしました。詳細は35頁をご覧ください。また、11月20日には、作家の小川洋子氏、李琴峰氏をお招きし、本学からロバート キャンベル特命教授、榊原理智教授、由尾瞳准教授が参加した開館記念国際シンポジウム「物語を拓こう、心を語ろう」を開催(オンライン形式)、多くの方々にご参加いただきました。このシンポジウムや2022年度に創刊予定の国際学術雑誌(2021年度中に論文募集開始)で、当館所属の助手・助教が任に当たりました。2022年3月22日には、小澤征良氏、小澤征爾音楽塾の皆様のご厚意で、「キャンパス・ライブ 小澤征爾音楽塾ミニコンサート」を開催いたしました。また、学生たち主催の音楽のコンサートも実施することができました。今後も学生たちの活動を支援しながら、文学をはじめ、芸術を共有できる開かれた場を目指して参りたいと存じます。2021年度の国際文学館(村上春樹ライブラリー)国際文学館
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