Annual_Report2021
13/78

2.キャンパスのミュージアム化と世界に向けての文化発信 ─早稲田の文化を未来の世代へ─3.早稲田大学国際文学館(通称「村上春樹ライブラリー」)の開館早稲田大学では、本学が持つ有形・無形の文化資産をもって、文化面においても日本のリーディングユニバーシティであるよう、多岐にわたる活動を行っています。それらの取り組みは、本学が一丸となって取り組みを行っている“Waseda Vision 150”の大きな柱のひとつとして位置付けられており、学内各箇所が個別に実施してきた文化事業活動に優先・重点事業を設定し、より高い文化力を発揮できるように取り組んでいます。1.“Waseda Vision 150”への取り組み https://www.waseda.jp/inst/vision150/本学では、アジアのリーディングユニバーシティとして確固たる地位を築くための中長期計画“Waseda Vision 150”を策定しました。文化推進部では、「核心戦略6 早稲田らしさと誇りの醸成をめざして─早稲田文化の推進」を担当し、以下の複数プロジェクトを実施。2021年度はSTAGE2の4年目にあたり、STAGE1の5年間の成果を元に、引き続き多くの事業を遂行しています。【9つのプロジェクト】1) 文化・芸術の推進とキャンパスからの文化発信プロジェクト (web サイトや Facebook、Twitter、Instagram、YouTube、メールニュース等で本学の文化・芸術活動を幅広く広報)2)地域との連携による文化発信と施設の有効活用プロジェクト(本学に縁が深い都県を中心に、連携事業を実施)3) バーチャルミュージアム─文化資源データベース公開の強化・拡充プロジェクト (文化資源データベースの公開:公開データベース数113、公開データ数100万件以上、バーチャルミュージアム機能の公開)(2022年3月現在)4)早稲田大学百五十年史編纂プロジェクト(百五十年史1〜3巻の作成と関連シンポジウム等の開催)(2022年3月現在)5)早稲田スポーツの新たな展開プロジェクト(早稲田アスリートプログラム(WAP)等の推進)6) 早稲田らしさと誇りの探求プロジェクト (早稲田大学歴史館、早稲田スポーツミュージアムの開館。「大隈重信自叙伝」「大隈重信と早稲田大学」の刊行)7)ワセダ演劇の発信力強化プロジェクト(演劇博物館各種イベントの実施。早稲田小劇場どらま館での演劇公演)8)国際文学館開設プロジェクト(2021年10月開館)9) 柳井正イニシアティブの推進─日本文学・文化のグローバル化プロジェクト(LAでの企画展示準備、各種関連イベント等の開催、Japan Past & Present(デジタルハブ)の構築準備)早稲田大学は、1882年の創立以来、坪内逍遙らが文学・演劇研究を開拓し、図書館・博物館における文化的資料の収集・公開を進めるとともに、芸術家、小説家、批評家、演劇人、映画人など、文化の発展に寄与する多くの人材を輩出してきました。また、国宝2件、重要文化財7件、重要美術品8件を含む図書、図書資料、美術品、書画、博物資料、映像資料、記録文書類など、500万点以上を所蔵しています。本学はこれらの「早稲田文化」の資源の公開と活用を通して、大学の使命の一つである社会貢献に努めています。現在、価値観の多様化や広範な異文化間の交流、多文化社会の形成等により、本学の文化的使命はますます大きくなっています。こうした社会状況のなかで、本学が積極的に取り組む独創的な事業を紹介します。学内の各所にすぐれた芸術・美術作品を展示し、「早稲田らしい品格のあるキャンパスの雰囲気」の場の形成を目的としています。学生・教職員・来校者が直接に高い芸術性を持つ作品に触れられることは、豊かな心と教養を涵養し、人格形成にも役立つと考えています。また、キャンパスがこうした芸術・美術作品に囲まれていることは、それ自体が誇らしいことでもあります。2014年には27号館地下1階に「ワセダギャラリー」をリニューアルオープン、2015年には同館1階を改修してショーウィンドウスペースを設置するなど、着実に文化活動の拠点を拡大してきました。2018年3月には既存の坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館に加え、3つ目のミュージアム「早稲田大学歴史館」を開館。本学の歴史(過去・現在・未来)に関する資料や情報を、単なる通史の平板な陳列ではなく、来館者がそれぞれの関心に応じて新たな発見ができるよう、多様な切り口で提示しています。2019年3月に戸山キャンパスの「早稲田アリーナ」内に4つ目のミュージアム「早稲田スポーツミュージアム」を開設、長い歴史を彩る栄光のシーンや象徴的なエピソード等を通じて、常に時代の先頭を走ってきた「早稲田スポーツ」の個性や魅力を感じていただくことができます。2020年10月には、埼玉県本庄市と本学が共同し、早稲田リサーチパーク・コミュニケーションセンターに、5つ目のミュージアム「本庄早稲田の杜ミュージアム」を開館し、本庄市で出土した貴重な資料の数々と、本学が所有する多くの所蔵文化財(日本・エジプト・オセアニア関係等)を最新の研究成果とともに展示し、地域の歴史と文化などを未来の世代に受け継ぐ取り組みを行っています。本学のバーチャルミュージアムは、本学が有する文化資源を三次元などの先端技術による仮想空間の中で精細かつ鮮明に再現し、時と空間の制約を超えた体験を可能とすることを目指します。2017年6月に公開した「早稲田大学文化資源データベース」は、実際には手に触れることが難しい美術工芸品や博物館資料をはじめとする本学の貴重な文化的資産を、ワンストップで横断検索し、資料の画像情報や付属資料詳細に接することができます。公開データ数は現在101万件を超え、今後も更なる充実を目指しています。2020年7月には、文化資源データベースの幅広い層への利用を展開するため、キュレーションを軸として閲覧可能な機能である「バーチャルミュージアム」の公開を開始。大学が有する貴重な文化資源を広く社会に発信し続けています。2021年10月1日、世界的な建築家で本学特命教授である隈研吾氏によりリノベーションされた早稲田キャンパス4号館に、国際文学館(村上春樹ライブラリー)が開館しました。開館に先立つ9月には、村上春樹氏、国際文学館構想を支援する柳井正氏(株式会社ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長)、隈研吾氏、田中愛治総長、十重田裕一館長が揃って記者会見に臨みました。国際文学館は、村上春樹氏から寄託・寄贈を受けた書籍、関係資料等を収蔵し、「物語を拓こう、心を語ろう」をコンセプトに掲げ、村上文学を基点として国際文学を研究・発信し、研究者たちが交わる研究・交流拠点となることを目指しています。館内には、研究書庫の他ギャラリーラウンジや階段本棚、オーディオルーム、ラボやカフェなどがあり、新型コロナ感染症対策のため事前予約定員制での開館となる中、多くの方にご来館いただいております。また、朗読イベント「Authors Alive! 〜作家に会おう〜」を開催するなど文化交流イベントも開始しています。(1)キャンパスのミュージアム化(2)バーチャルミュージアムの実現11国際文学館記者会見当日文化事業総  括

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る