文化推進部長 首 藤 佐 智 子(法学学術院教授)06本学文化推進部は、早稲田文化の魅力ある発信を目指して、従来から多種多様な文化事業を実施してまいりました。文化推進部として推進する事業は、大きく分けて「大学施設を利用した文化事業」と、「地域交流事業として主として学外において実施する文化事業」の2つとなります。2021年度も新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、各ミュージアムをはじめ、文化推進部としてこれらの事業に取り組みました。前者としては、主に以下のとおりとなります。・毎春恒例の、早稲田大学芸術功労者の野村万作様、ご子息の野村萬斎様による「早稲田狂言の夕べ」は時期を6月に変更し来場者数の制限を設けるなど感染症対策を徹底して2年ぶりに開催しました。・大学が過去から積み上げてきた文化資産を学生に周知したいという思いから、2015年度より、大学内の文化施設(坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館、大学史資料センター)が収蔵する文化・情報資源をより積極的に利用・活用してもらえるきっかけとなるよう開催してきた「Museum Week」は、5月の緊急事態宣言期間と重なり、対面企画や各文化施設の一般公開は中止となったものの、360度映像を活用した「VRミュージアムツアー」、「ミュージアム紹介動画」や「ミュージアムからのコンサート動画」の映像コンテンツ配信など様々なオンライン企画を展開しました。・10月の創立記念日の前後に、大学の各箇所や教職員が主催する「早稲田文化芸術週間」は、「Museum Week」同様に、オンライン中心とした様々な企画を10月に展開しました。次に、後者の「地域交流事業」については、前年度から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、学生や教職員の派遣を伴う現地での対面事業は中止となりましたが、美濃加茂市との交流事業は学生演劇公演をオンライン配信に切り替え実施しました。こうした事業以外では、2021年10月1日、早稲田キャンパス4号館に、「国際文学館(村上春樹ライブラリー)」を開館しました。新型コロナウイルス感染症対策のため入場者数を制限しての運営となりましたが、開館以来多数のみなさまにご来館いただいております。村ご挨拶上春樹氏から寄託・寄贈を受けた書籍、関係資料等を収蔵し、村上文学を基点として国際文学を研究・発信し、研究者たちが交わる研究・交流拠点となることを目指します。また、本学創設者の大隈重信が没後100年となる命日2022年1月10日に大隈講堂にて「大隈重信没後100年記念式典」を開催しました。式典では、大隈重信および福澤諭吉に係わる早慶それぞれの研究者による講演「大隈と福澤の交流を読み解く─近代日本の政治と経済─」、本学総長による講演「Waseda Vision 150 and Beyond─2050年に向かう早稲田─」を行いました。大隈の理念を引継いで本学が未来に向けて何を目指し今後の教育界および研究分野をどのように牽引していくのかについて語られた講演の様子は、YouTubeによるリアルタイム配信に加え、1年間のアーカイブ配信により学内外に広く発信しています。多くの人が集まるイベント実施においては、依然として感染拡大防止を前提とした慎重な判断が求められています。大隈記念講堂や小野記念講堂などのイベント施設は、利用形態により参加定員を制限したうえで、体温測定のサーモグラフィーや消毒液を入口にする設置などの感染拡大防止対策を講じてきました。文化推進部が行うイベントは、学生の持つエネルギーが形づくる「早稲田文化」と、それを迎えてくださる地方公共団体の皆さまの協力がなくしては成り立ちません。文化推進部では歩みを止めぬよう、学生団体や大学周辺の食堂や商店にも協力を仰ぎつつ、これからも継続して取り組んでいきたいと考えています。文化推進部の関係4機関(坪内博士記念演劇博物館、會津八一記念博物館、大学史資料センター、国際文学館)も、新型コロナウイルスの感染拡大の状況にありながら、徹底した感染対策を講じながら開館し、それぞれに独自の取り組みを展開しました。その詳細は、本年報をご覧くださるようお願いします。新型コロナウイルスの収束時期はいまだに見通せない状況ですが、本学としては、みなさまに「早稲田文化」をより身近なものとして感じていただけるよう更に力を入れてまいります。どうか、今後も本学の文化事業へのご理解とご支援を賜りますよう、心からお願い申し上げます。文化推進部の動き(2021年度)文化推進部
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